つくば不安定核セミナー開催(2017.3.7)

2017年3月7日(火)に以下の内容で第38回つくば不安定核セミナーを開催します。詳細(PDF)。

講師:宇都野 穰(日本原子力研究開発機構・先端基礎研究センター)
日時:3月7日(金)、16:00~
場所:筑波大学自然系学系B棟118
講演題目:二核子配位のガモフテラー遷移で探る陽子中性子対相関の性質
概要:陽子・中性子間の引力は平均的には同種粒子間の引力よりも強いため、 陽子・中性子対凝縮が起こると期待されるものの、実験的にはその明確な 証拠はないとされている。何らかの対凝縮を妨げる メカニズムがあると考 えられるが、はっきりとしていない。この講演では、「クーパー対」に対応す る二核子配位を詳しく調べ、そこから波動関数及び相互作用行列要素の符号に関して新しく得られた知見について報告する。
 LS 閉殻の上に二個の核子が存在する原子核、つまり質量数 6, 18, 42 の原子核については、最も 低い (J, T ) = (0, 1) から (1, 0) 状態間に非常に強くガモフテラー遷移することが最近の藤田らの実験 などによって知られている。この性質は、アイソスカラー対ハミルトニアンではバレンス殻および一 粒子エネルギーによらない普遍的なものであると証明することができ、同様なことが二空孔配位でも起こる。しかし、実際は、14C が極めて長寿命であることから知られているように、二空孔配位で はそうなっていない。その原因は、実際の (J, T ) = (1, 0) 相互作用行列要素の符号の一部がアイソスカラー対ハミルトニアンとは異なっており、その結果、アイソスカラー対を構成する基底波動関数の符号が一意に定まらないからとわかった。これは、アイソベクター対とは大きく異なる性質で、対凝縮を妨げる一つの要因となりうる。
また、このセミナーに先立ち、講師の宇都野氏による核応答・核反応に関する講義を行います。
日時:3月7日(火) 13:00ー14:00、14:30ー15:30
場所:筑波大学自然系学系B棟118
対象:学部・修士以上。