セミナー(Seminar) 2020.10.23: Dr Toshimi Suda (Tohoku Univ.)

Lecturer: Toshimi SUDA (Tohoku University) [東北大学 電子光理学研究センター 須田利美]
Date/Time: 14:00, October 23 (Fri), 2020
Place: Meeting Room A in Center for Computational Sciences, together with Zoom
Title: Electron scattering for structure studies of proton and exotic nuclei
Abstract: 本セミナーでは、東北大学と理化学研究所の電子加速器を利用して進めている電子散乱による陽子と短寿命不安定核の構造研究について紹介します。
1)陽子電荷半径 : ULQ2 (Ultra Low Q2)@東北大電子光理学研究センター
史上最低エネルギー(Ee = 20 – 60 MeV)の電子・陽子弾性散乱から、最も信頼度の高い陽子電荷半径を決定します。ここ数年、科研費により電子光理学研究センター内に新しくビームラインと2連の散乱電子スペクトロメータを建設しています。本研究は、「陽子半径パズル」と呼ばれる陽子電荷半径に関する混乱に決着をつけ、正しい陽子電荷半径の決定が目標です [1,2]。セミナーでは、陽子半径パズル、ULQ2 計画そしてコミッショニングの現状と今後の展望を紹介します。
2)短寿命不安定核の電荷密度分布 : SCRIT@理化学研究所 RIBF
 私たちは、前例のない電子散乱による短寿命不安定核研究を可能にするSCRIT電子散乱施設を理化学研究所 RIビームファクトリーに建設し稼働を開始させました [3]。SCRIT 施設の現場と今後の研究展望について紹介します。
 電子弾性散乱で決定される電荷密度分布は主として陽子分布の情報を与えますが、電荷密度分布の4次モーメントから核内中性子分布の平均二乗半径が決定できる可能性が理論的に指摘されました [4,5]。この指摘を受けて、原子核構造研究に最適な電子散乱で不安定核の陽子と中性子分布を同時決定する可能性の検討を進めています。セミナーではこの可能性についても皆さんと議論したいと考えています。
【参考文献】
1. “Measurement of proton charge radius by low-energy electron scattering.”, T. Suda et al., J. Part. Acc. Soc. Japan 15 (2018) 52-59.
2. 「極運動量移行領域での電子・陽子弾性散乱による陽子電荷半径の精密決定.」須田利美、塚田暁、 原子核研究 61 (2017) 87.
3. “Prospects for electron scattering on unstable exotic nuclei.”, T. Suda and H. Simon, Prog. Part. Nucl. Phys. 96 (2017) 1.
4. “The n-th order moment of the nuclear charge density and contribution from neutron”, H. Kurasawa and T. Suzuki, Prog. Theor. Exp. Phys. 11 (2019) 113D01
5. “The mean square radius of the neutron distribution and the skin thickness derived from electron scattering.”, H. Kurasawa, T. Suda and T. Suzuki, arXiv 2009.00759

This seminar is given in Japanese.